不動産税制のまとめ(2)
<貸している時>
◆不動産所得
(1)不動産所得とは:
地代、家賃、権利金、礼金返還不要の敷金や保証金、更新料、名義書換料など。
(2)必要経費とは:
固定資産税、保険料、減価償却費、借入 金利子、修繕費など。
(3)控 除:
事業的規模(アパートなら10室以上など)で行っている場合は、白色申告者の場合は事業専従者控除(配偶者は86万円)、青色申告者の場合は青色事業専従者給与の制度があります。 なお、
青色申告者には、正規の会計原則により記帳している場合なら65万円の青色申告特別控除があります。
(4)不動産所得の計算式:
総収入額-必要経費-青色申告特別控除=不動産所得の金額
(5)支払い:
所得税は毎年3月15日迄に確定申告にて、住民税は所得税に準拠して所得計算が行われ、市町村からの納税通知書によって6月、8月、10月、1月の納期に分けて納付できます。
(6)事業税:
個人の場合でも、一定規模以上(アパートなら10室以上など)の不動産貸付業や駐車場業を行っている場合は、課税対象となります。
算出式:
(総収入額-必要経費-事業主控除290万)×税率=税額
(※標準税率は5%)
<住宅ローン控除>
自己の居住用の住宅を購入したり、増改築した場合において、返済期間が10年以上の住宅ローンを有すること等一定の条件を満たすときは、その居住年から一定期間の間、ローン残高に応じて一定額が所得税から控除できます。
(1)算式
年末借入金残高×控除率=ローン控除額
従来方式
a.控除対象限度額 : H19年 2,500万円、
H20年 2,000万円
b.控除率: H19年 1~6年目は1%、7~10年目は0.5%
H20年 同上
c.控除期間: H19年、H20ともに最大10年
d.最大控除額: H19年は200万円 H20年は160万円
新方式(国から地方への税源委譲対策)
a.控除期間: 15年
b.住宅借入金の年末残高: H19年は2,500万円、
H20年は2,000万円迄
c.控除率: 1~10年迄は0.6%、11年~15年迄は0.4%
(2)該当要件
新築住宅においては、床面積が50㎡以上、中古住宅の場合には築20年以内(耐火建築物は25年)の家屋か新耐震設計基準に適合する家屋 等の要件を満たす必要があります。
(3)併用ができないもの
イ.居住用不動産の3,000万円特別控除
ロ.所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
ハ.居住用不動産の買換特例等との併用はできません。
(4)手続き
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告をする必要がありますが、サラリーマンの場合は2年目からは年末調整で控除してもらえます。
但し、国から地方への税源移譲により、所得税で還付しきれない方もこれからは発生してきます。 参照→
<売却及び買換時>
1.かかる税金の種類
(1)個人が不動産を売却した場合・・・譲渡所得に対する所得税並びに住民税
(2)会社組織ではない個人不動産業者が不動産(商品)を売却した場合 ・・・事業所得に対する所得税並びに住民税
(3)法人が不動産を売却した場合 ・・・法人税並びに住民税
※本章では個人が売却や買換をしたときを想定して書いていきます。
2.課税譲渡所得の基本計算式
(1)譲渡価格-取得費-譲渡費用-特別控除
=課税譲渡所得金額
(2)長期と短期の分別
土地建物を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率が異なります。
● 長期譲渡所得→ 課税譲渡所得金額×20%(所得税15%、住民税5%)
● 短期譲渡所得→ 課税譲渡所得金額×39%(所得税30%、住民税9%)
※自己の居住用でも賃貸(収益)用物件でも同じです。
3.税務署への申告
譲渡所得がある場合は、翌年の3月15日までに確定申告をする必要があります。
4.居住用の不動産を売却、買換した場合の特例
(1)3,000万円の特別控除(譲渡益が生じた場合)
居住用の財産を譲渡した場合に所有年数に関わりなく、適用を受けられます。
※住宅とその敷地のそれぞれを夫婦で共有名義になっていれば、夫と妻のそれぞれの持分について3,000万の特別控除を受けられます。
(2)所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率(譲渡益が生じた場合)
この制度は、1月1日において所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合に適用されます。尚この制度は、(1)の3,000万円特別控除とセットで利用できます。
●3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分 → 所得税10%、住民税4%
●3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち、6,000万円を超える部分 → 所得税15%、住民税5%
(3)特定の居住用不動産の買換の特例(譲渡益が生じた場合)
これまで居住していた住宅やその敷地を売却して、新たに住宅やその敷地を購入(買換え)をした場合に、取得価格の引継による課税の繰り延べができます。
(イ)譲渡資産の売却額≦買換資産の購入額 →
譲渡が無かったものとして課税されません。
(ロ))譲渡資産の売却額>買換資産の購入額 →
購入代金を上回る部分のみ課税されます。
厳密に言えば、税金がかからないのではなく、譲渡時点で課税されないという意味で、その後に買換えした資産を売却する場合には、もとに戻って課税されるということです。
従いまして、3,000万円特別控除も検討して、より節税につながるほうを選択して下さい。
尚、特例を受けるためには、譲渡資産では、所有期間や保有期間が10年超など。買換資産では、住宅や敷地の面積や築年数などの要件が定められています。
(4)居住用財産の買換に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(譲渡損が生じた場合)
特定の居住用不動産の譲渡損失が発生した場合、その年の他の所得から控除(損益通算)することができ、また控除しきれずに残額のあるときは、その翌年から3年間に繰越して控除できます。
算出式:
譲渡収入-取得費-譲渡費用=赤字!(譲渡所得に係る損失額)
他の所得金額-譲渡所得に係る損失額
=譲渡損失の金額(繰越控除対象額)
特例を受けるためには、年間総所得が3,000万円以内、譲渡資産では所有期間が5年超など。買換資産では、住宅部分床面積が50㎡以上、10年以上の返済期間の住宅ローンがある等、の要件が定められています。
尚、本制度は、後述の住宅ローン控除と併用が可能です。
(5)居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(譲渡損が生じた場合)
平成16年の改正によって、前出(4)の制度は、買換をしなくても、譲渡損失が発生する場合には、同様の繰越控除ができるようになりました。 但し、住宅ローンの金額から譲渡価格を控除した残額が控除できる限度となります。
5.事業用不動産を売却、買換した場合の特例
●特定の事業用資産の買換えの特例
(1)内容
個人が特定の事業用資産(譲渡資産)を譲渡し、一定期間内に特定の事業用資産(買換資産)を取得し、こ れを取得日から一年以内に事業の用に供した場合に、譲渡資産の譲渡益の80% 相当額まで課税の繰延が認められます。
(2)算出式
イ)譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得金額以下である場合
a. 譲渡資産の譲渡価額×20%=課税される収入金額
b. (譲渡資産の取得費+譲渡費用)×20%=必要経費
c. a.-b.=課税譲渡所得金額
ロ)譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得金額を超える場合
a.(譲渡資産の譲渡価額-買換資産の取得価額)+買換資産の取得価額×20% = 課税される収入金額
b.(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(a.の収入金額÷譲渡資産の譲渡価額) =必要経費
c. a.-b.=課税譲渡所得金額
(3)組み合わせ要件、制限等
措置法第37条第1項に定められていますが、主なものは次の3つです。
①既成市街地等の内から外への買換
譲渡資産は所有期間が10年超の規定等がある。
②土地の有効利用のための買換
建築面積150㎡以上、4階以上(一定の共同住宅は3階)の特定建物を建築するための譲渡に限る規定等がある。
③長期保有資産からの買換
譲渡資産は所有期間が10年超の規定等がある。また買換資産の土地面積は、譲渡資産の土地面積の5 倍までが、本制度の特例に該当となります。
●事業用不動産を買換えではなく単純に譲渡する場合は、所有期間に拠る、長期譲渡所得または短期譲渡所得による税率で、課税されます。
6.特定の事業のために売却する場合の特例
特定の事業のために売約する場合にもいくつか特例があります。
(1)優良住宅地造成等のための売却
(2)特定土地区画整理事業のための売却
(3)特定住宅地造成事業のための売却
(4)中高層耐火共同住宅の建設のための売却
(5)特定民間再開発事業のための売却
詳細は割愛いたします。
7.その他の特例
これ以外にも、「固定資産である土地や建物などを交換した場合の特例」や 「収用に係る5,000万円特別控除又は代替資産を取得した場合の買換の特例」 などもあります。
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