« 不動産税制のまとめ(2) | トップページ | 関西出張にて »

収益還元法の基本的な考え方

ここでは投資効率の指標としての、収益還元法の基本的な考え方を説明したいと思います。

例えば1,000万円持って金融機関に預けに行き、5%の利息がつく場合、現在の1,000万円は5年後には1,276万円になります。銀行に預けたり、債権等に投資する場合、最初から利率が決まっていて、一定期間後にいくらのキャッシュになるかはすぐわかるのですが、不動産投資の場合には、いろんなリスクを考慮しながらどれだけ多くのリターンを狙えるか、シュミレーションが必要になってきます。

そのようなシュミレーションをするための指標として、還元利回り(キャップレート)、割引率(ディスカウントレート)、、正味現在価値(NPV)、内部収益率(IRR) などが用いられています。

以下に少し詳しく説明したいと思います。

      

1.投資利回りとは

一番シンプルなケースでまずお話しします。ある人が2つのAマンションとBマンションのどちらに投資すべきか検討するときに、取得費はどちらも1億円である場合、Aマンションは年間700万円の収益、 Bマンションは年間600万円の収益が上げることが出来るとします。この場合、

 Aマンションの利回りは、700万円÷1億円=7%

 Bマンションの利回りは、600万円÷1億円=6% 

となりますので、Aマンションに投資したほうが、トクだといういことになります。

2.賃貸収益について

上記で、Aマンションは700万円の収益だと述べましたが、これは賃料、礼金、更新料等の収入から、必要経費(修繕維持費、光熱費、火災保険、固定資産税など)を差し引いた利益です。これを不動産業者間では、NOI(Net Operating Income/純収益)と呼んでいます。但し、この必要経費には減価償却費は含みません。なぜなら毎年の費用として計上できるものでありますが、実際の支出を伴うものではなく、投資対象物件がどれだけのキャッシュフローを生むかを判断するためには、すでに減価償却費を費用として差し引いた営業利益に、実際は支出をしていない減価償却費を加算して、純営業収益を算出する必要があるからです。(減価償却費も諸経費に含めて計算する場合を、投下資本収益と呼び、企業会計の営業利益率にほぼ対応した利回りとなります。)そして700万円÷1億円=7%というように計算された利回りが、投資家の期待利回り と呼ばれます。

なお、投資用不動産のチラシなどに表示されている利回りは、たいていは必要経費を差し引く前の年間総収入だけで投資額を割ったグロス利回り(表面利回り)で書かれているのが一般的です。

3.還元利回りについて

純営業収益を総投資額で割ったものが、投資利回り となりますので、総投資額を計算するには、「純営業収益÷投資利回り」となります。このように純営業収益から不動産投資価値を計算する場合にこの式で使われる利回りのことを、総合還元利回り/キャップレート(純利回り)と呼びます。業者間では、投資判断をする際に、各地域毎に、ビル、マンション、物流施設等の物件タイプ別に大凡の目安となるキャップレートをもち、それ以上か、それ以下かといった判断をしています。但し残念ながら、個人投資家がオフィス系でなく、特にアパート・マンション投資する際に参考にできる公のインデックスはなかなか入手しにくいので、各地域のマーケーットに精通したブローカーなどから周辺相場を確認して投資判断の材料にすることになります。

4.割引率について

仮に1,000万円をAマンションに投資して、毎年5%で運用できるとします。この場合現在の1,000万円は、

 1年後の価値:1,000万円×(100%+5%)=1,050万円

 2年後の価値:1,000万円×(100%+5%)2=1,102万円

 3年後の価値:1,000万円×(100%+5%)3=1,157万円

となります。そうすると、いま1,000万円貰うのと、1年後に1,050万円貰うことは同じ価値があることになります。同様に2年後に1,102万円貰うこと、或いは3年後に1,157万円貰うことも、いま1,000万円貰うこととは同じ価値があると言えます。これが現在価値の考え方です。(実際の投資では毎年の稼働率や賃料も変動し、同じ利回りになることはありえませんが、簡便な説明のため同一としています。)

上記の計算を今度は逆に未来から現在に遡って考えると、

 1年後の1,050万円の現在価値:1,050万円÷(100%+5%)=1,000万円

 2年後の1,102万円の現在価値:1,102万円÷(100%+5%)2=1,000万円

 3年後の1,157万円の現在価値:1,157万円÷100%+5%)3=1,000万円

となります。このように将来得られるキャッシュフローを現在価値に割り引く計算をする際に用いられる金利を割引率と呼び、今ある投資資金を将来得られるキャッシュフローに計算するときに用いられる金利が期待利回りです。従いまして割引率と期待利回りは同じ利率となります。

5.正味現在価値について

毎年100万円の収益を生み出すBマンションを3年間保有した後、1,000万円で売却できるものと仮定します。この場合の売却まで含めたNOI(純収益)は

100万円×3年+1,000万円=1,300万円

となりますが、投資家の期待する利回り(割引率)が7%の場合の現在価値を算出すると、

1年目現在価値:93.4万円+2年目現在価値I:87.3万円+

 3年目賃料と売却益の現在価値:8,979万円=1,078万円

となります。このBマンションを投資家が1,000万円で購入したとしたら、投資家の期待より78万円プラスであったということになります。このように現在価値から購入(投資)額を差し引いたものを、正味現在価値(NPV)と呼び、プラスであれば投資適格と判断します。NPVは専門ソフトがなくても、エクセルの関数(コチラの本も参考になりますよ)で計算ができます。

6.内部収益率について

内部収益率とは、投資した不動産から将来得られるキャッシュフローの現在価値合計と、当初の投資額が等しくなる割引率のことでIRRとも呼びます。上記のBマンションを1,000万円で購入(投資)して上記の通り運用、売却できたとしたら、次の計算式により

投資額1,000万円=

1年目:100万円÷(100%+r%)+

2年目:100万円÷(100%+r%)2+

3年目:(100万円+1,000万円)÷(100%+r%)3

内部収益率rは10%になります。こちらもエクセルの関数で計算ができます。

考え方としては投資家の投資目標利率が内部収益率を下回れば、投資適格と判断できます。

すなわち、最初の投資額を決めて計算する割引率が内部収益率で、割引率を決めて最初の投資額を計算するのが正味現在価値ということになりますが、実務面ではIRRで投資家の希望水準に達しているかを判断し、NPVで利益の絶対額を見極めるという使い方をしています。

このように不動産の収益性から、いくらで購入(投資)する価値があるかを算定する方法を、収益還元法とよびます。収益還元法のうち単一期間の変動しないNOI(純収益)を還元利回りによって収益価格(投資価値)を算定する方法を直接還元法といい、また投資期間中の変動するNOIや転売利益の現在価値総和の概念から、投資価値の判断をする方法を、DCF法(Discounted Cash Flow法)とよび、不動産金融の世界では変動リスクを折り込んだ算定が出来る方法として、直接還元法だけに頼らず、DCF法を必ず適用するようになっています。

変動リスクを予想しながら不動産投資するのは、個人投資家でも同じく重要なことですので、おおまかなDCF法の考え方を理解しておいたほうがよいと私は思います。取得物件をずっと保有し続けるなら単年度の利回りとキャッシュフローだけ考えればよいのですが、5年後とか、一定期間で転売を行いながら保有物件のスケールを拡大していくのであれば転売時の損益まで含めた考え方であるDCF法がとても重要になってきます。

不動産投資について、セミナーに参加する時間のない方は、コチラ のような自宅で学習できる教材もありますので、どうぞご利用下さい。

  ~ 続 く ~

    人気ブログランキングへ

|

« 不動産税制のまとめ(2) | トップページ | 関西出張にて »

不動産投資の基本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/505987/10723664

この記事へのトラックバック一覧です: 収益還元法の基本的な考え方:

» 株式投資 用語集 [用語集]
株の投資には興味はあるけれど、単元株を買うには、どうしても資金が不足してしまうという場合にはミニ株というものがありますが、ミニ株よりも、もっと少額で投資できる方法があります。 [続きを読む]

受信: 2008年3月 1日 (土) 14時45分

» シャネル グロス が激安 [シャネル グロス が激安]
シャネル グロス が激安,シャネル グロス が激安,シャネル グロス が激安 [続きを読む]

受信: 2008年3月 1日 (土) 16時13分

« 不動産税制のまとめ(2) | トップページ | 関西出張にて »